英語英文学会の会員の皆さまへ

 

              希望があるからこそ

 

 

 本日は7月の「夏期公開講座」(3つの講座)のご案内等をお届けしています。対面式とオンライン(ZOOM)両方での開催ですので、ご都合のよいほうで、ぜひご参加ください。

 

①7月23日(土)14:00-15:30. 﨑ミチ・アン先生のご専門は社会言語学。複雑な世界情勢のなかで私たちはどう向き合ったらよいのか。「異文化」、「多文化」、「共生社会」は20世紀後期からのキーワードです。では21世紀における向き合い方は?(英語講演)。

②7月24日(日)10:30-12:00. 鈴木里奈先生はイギリスの思想家・作家ウィリアム・ゴッドウィンおよびメアリ・シェリー(ゴッドウィンの娘)の研究者。メアリの『フランケンシュタイン』(1818)はゴシック小説の外見を装って哲学を語る小説、へえ~そうなんだと意外性が満載。

③7月24日(日)13:00-14:30. 國友万裕先生のご専門はアメリカの文学・文化です。第二波フェミニズムに影響されて1980年代から「男性学」という研究分野が盛んになりました。今回はアメリカ映画に見られる「男らしさ中毒」について。こういう話、聴きたかったです。

 

 さてここから話が変わります。上記の3つの夏期公開講座を思いながら、私の脳裏には「希望」という言葉が浮かんできました。学部と院生のころ、私は瀧山季乃先生からトマス・ハーディの作品の手ほどきを受けました。英語で初めて読んだハーディの小説はFar from the Madding Crowd(1874)でした。訳読でかなり苦労し、こんなに英語が読めなくては文学研究なんてできるわけがないと絶望的な気分に陥りました。

そんな記憶の小説ですが、特に印象が鮮明なのは40章で、身重のファニー・ロビンがヤルベリーの丘を越えてカスターブリッジの救貧院まで歩いて行く有名な場面です。犬が途中から登場しファニーの旅を支えます。こんな状況ですらファニーは希望のかけらを見つけています。

 

悲しく厳かで、それでいて情け深くもある夜の一面が、人目をはばかる残酷な夜の面から分離して、犬の姿に具現化されたのである。暗闇というものは、とるに足らない平凡な人々に、詩的才能を与えるものだが、この苦悩する女も自分の思いを、形あるものに創り上げたのである。

                      (『はるか群衆を離れて』 40章、拙訳)

 

ファニーは救貧院に着くとすぐに死産し命を落とします。人は死によって勝利するはずはないし、希望と呼ぶにはあまりに儚く微弱な光ですが、それでも希望を見つけようとする人間の想像力に圧倒される思いがしました。

希望がなければ生きていけない。この世への求愛はむなしいことだと知っていても、それでも希望が私たちを支えてくれます。卒業生の皆さんは、混迷する世の中にあっても、勇気の源泉を知っていらっしゃるのではと思っています。

 

                         2022年(R4)6月

 

                            英語英文学会 会長 風間 末起子

 


同志社女子大学 英語英文学科の会員の皆様へ

 

ご挨拶― ようこそ英語英文学会へ ―

 

 まずはじめに、2年間、学会長をおつとめいただいた松村延昭先生に、この場をお借りして、深く感謝申し上げます。先生にはこの2年間(2020.4月~2022.3月)、コロナ渦の中、諸々の会や行事の実施に向けて、対面、オンライン、ハイブリッド式によるさまざまな方法でご苦慮いただき、ご尽力をたまわりました。本当に有難うございました。今後もどうか私たちをお支えください。

 次に皆様への私のご挨拶です。

 どんな職場でもどんな立場でもそうだと思いますが、私たちに必要なのは、人間的な結びつきと、ある程度の満足感(自信)、そしてちょっとした畏れ(敬意と不安)だと思います。

 そういうものを、大きな意味で培ってくれたのは、私の場合は同志社女子大学という職場でした。

同時に小さな研究会の場が心を鍛え、育んでくれました。会に出席することで、もっと研究をしたいという気持ちが増し、働くことの意味や、人間関係の基本も教えてもらったからです。

 これまで私が従事してきた文学研究は基本的には机上のものですし、自分だけの孤独な領域です。しかし人間的な繋がりがなければ(時に煩わしくても)、その研究は机上以下の空疎なシロモノになってしまうような気がします。

 創立(1967年、S42)から55年もの歴史を誇る、私たちの英語英文学会も、絆となる場所、そっと寄りかかることのできる場所となってほしいと願っています。本学会は約24,000名の卒業生と約600名の現役の学部生と院生を擁しています。この会員数を前にして、勇気と畏れが胸に迫ってきます。

 英語英文学会がたくさんの草木・草花を結べる糸や紐の役割を果たすことができれば、見える場を通して、見えないwebのような絆を広げていけたら、そう願っています。今出川キャンパスで、あるいはオンラインで、皆様にお目にかかれますことを心待ちにしております。

 

                             2022年(R4)4月

 

                          同志社女子大学 英語英文学会

                               会長 風間 末起子


同志社女子大学英語英文学会会員の皆様 

 

   初秋の候、皆様におかれましてはいかがお過ごしでいらっしゃいますか? 新型コロナウィルスの感染拡大が長く続いており、皆様にとっても日々大変な状況が続いていることと思います。

 

 英語英文学会第55回総会は昨年に続き書面で開催しましたが、すべての議案を承認していただいたことをご報告いたします。ご協力、ありがとうございました。

 

また第50回英語英文学夏期公開講座、アスフォデル贈呈式、DWCLA語学教師の会は、対面とオンラインを組み合わせた形で開催し、海外の卒業生にもご参加いただくことができました。オンライン開催のメリットも知ることができました。来年度はどうなるのかわかりませんが、皆様のお顔を拝見し、歓談しながらの総会・懇親会ができることを切に願っております。

 

 秋学期の行事については、状況を鑑みながら、学会ホームページによりご案内いたします。支部活動では、10月開催予定の愛媛支部が残念ながら2022年度に延期となりました。状況は日々変わっており、急な変更を余儀なくされることもあるでしょうが、どうかご理解のほどをお願いいたします。

 

『アスフォデル56号玉田佳子教授・北尾キャスリーン教授退職記念特別号』の郵送をご希望いただきました方には、今回、同封させていただきました。また、同志社女子大学図書館の学術リポジトリにても公開しております。

 

様々な学会活動も停滞しておりますが、コロナ禍終息の暁には、以前に増しての活発な活動をと考えております。その時がくるまで、皆様におかれましても、引き続きご自愛くださいますようお祈りいたしております。                              

 

                         2021年9月

                          英語英文学会長  松村 延昭 

 


◇卒業生の皆様へのお便りは、2021年度年会費を納入くださった方に郵送しています。
年会費の納入方法は、「卒業生の皆様へ」をご覧ください。(2021.9.09)


 

 

 同志社女子大学英語英文学会会員の皆様 

 

 

   今日の新聞は、テニスの大坂なおみ選手が全仏オープンを棄権したと報じていました。テニスファンとしては残念ですが、病気ということで仕方がありません。

 彼女で思い出すのは、BLM運動を支援していたことです。1968年のメキシコオリンピック男子200メートル競争では、優勝したトミー・スミスと3位のジョン・カーロス(ともにアフリカ系アメリカ人)が、表彰台で頭をたれ下げ黒い手袋をはめた手を突き上げ、アメリカでの人種差別に抗議しました。二人はスポーツに政治をもちこんだと非難され、アメリカの陸上界から追放となり、アスリートとしての人生を全うすることができませんでした。純粋なアマチュア選手で行われていた当時のオリンピックと現代のプロスポーツを単純に比べることはできませんが、大坂選手の言動に賛否両論が拮抗する現在では、社会は変わったのだなと実感します。

 BLM運動の大きな契機は、ミネアポリスの黒人ジョージ・フロイドが、警官の取り調べ中に死亡した事件です。銃器が身近にあるアメリカ社会で、張り詰めた状況におかれた警官は「一瞬の判断」を強いられます。そのため、警察官による実力行使は、裁判になっても資格による免責とされることがほとんどです。しかし、フロイドは9分29秒も膝で首を圧迫されて死にました。これを自らの身を守るための正当防衛とは言えないでしょう。激しい抗議運動がおこったのは当然のことです。

 しかし、その抗議運動に暴動と略奪行為が伴いました。暴行を受けたり、店を破壊された黒人の被害者も多く出ました。日本のテレビ報道は、人種差別の理不尽さは強く訴えるのですが、正当な抗議運動と暴動の区別を明確に指摘しません。キング牧師は「私には夢がある」のスピーチで、”We must not allow our creative protest to degenerate into physical violence.”と述べています。自分たちの抗議運動を暴力に堕落させてはいけない、とキング牧師は仲間たちを戒め、非暴力に徹底して活動しました。昨今の事情に目をやると、キング牧師の偉大さを再確認することができます。

 同時に、正当な抗議活動と暴動を混同してしまうメディアの切り取り報道にも問題があります。ほとんどの人が人種差別はなくすべきだと考えていますが、声高に訴えても容易に解決はしません。人種問題の多様性と奥深さを正しく理解し、各自が真摯に考えることが大切です。その意味でお勧めの映画が、スパイク・リー監督のDo the Right Thingです。メッセージをどう受け取ったらよいのか、観終わってスッキリしない映画ですが、これほど考えさせられる映画はありません。ぜひ観ての感想をお聞かせください。

 大坂選手の全仏棄権問題からだいぶ発展してしまいましたが、そのようなお話を会員の皆様とさせていただける日が早くくるように祈っております。どうぞこの大変な時期を健やかに過ごされ、英語英文学会のいずれかの活動でまたお会いしましょう。

 

2021年6月 

                   

                     同志社女子大学英語英文学会

                         会長  松村 延昭